GNHと内観

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先日の新聞に日本が中国に抜かれ42年ぶりにGDP世界2位の看板を下ろすことになったと報じられていましたが、識者の中にはそのことを嘆く発言もありました。

GDPとは周知のようにGross Domestic Productの略であり、国内総生産と訳されています。それは社会科の教科書によれば、経済を総合的に把握する統計とされている国民経済計算の中の一指標であり、それの伸び率が経済の成長率を示すというのです。

わが国は、1968年度にGNP50兆円を突破し西独を抜いて世界2位に躍り出て以来、世界中からはエコノミックアニマルと揶揄されつつも、物質的な豊かさを追求してきましたが、その背後では、うつ病など心の病に陥る人たちが増え、自殺者もこの十数年は、3万人を越えるという状況です。経済は発展したかもしれませんが、心は貧しく、幸せな生活から遠のいてきたように思われます。

GNHとは、Gross National Happinessの略語で、日本語では「国民総幸福量」と訳されています。それを提唱したのは、世界でも貧しい国とされるブータンのジグミ・シンゲ・ワンチュク国王のようですが、それは1972年のことで、ちょうど日本が高度経済成長に突入した頃です。GNPが金銭的・物質的豊かさを示すのに対して、精神的豊かさ、すなわち幸福度の指標としてGNHが提唱され、具体的な数値として表したことは、画期的なことでした。GDPが個人消費や設備投資として示されるように、GNHは①心理的幸福、②健康、③教育、④文化、⑤環境、⑥コミュニティー、⑦良い統治、⑧生活水準、⑨自分の時間の使い方の9つの構成要素からなっている、というのです。

実際にブータンの村々を訪ねた記者によると、子どもからお年寄りまで笑顔が絶えず、豊かな生態系のなかで、自給型農業を営み、コミュニティの助け合いが残っており、そこではスローライフが健在で、人々の幸福度はかなり高いようだ、と報告していました。たしかにお金も物も大事かもしれないが、それはいろいろある「幸せのモノサシ」のひとつにすぎないはずです。お金や、物の量や、テクノロジーだけで幸せを計れないはずなのに、日本人は「金さえあれば幸せになれるはずだ」という経済優先信仰を信じて生きてきたように思います。

GDPが3位に転落した今こそ、「幸せのモノサシ」を再考するチャンスにしたいものです。

内観の創始者・吉本伊信は、人々が幸せに暮らせる心境に到達するために内観の普及に全精力を注ぎましたが、まさに内観はGNHの①心理的幸福に寄与する方法だと言えましょう。

 

 

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