内観療法の可能性―上海クリニックからの考察―

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 20121020日(土)に東邦大学医学部で開催の第15回大会において、国際内観シンポジウムが予定されていますが、シンポジストのお一人である小澤寛樹教授(長崎大学医学部)から連名による抄録原稿が送られてきましたので、本欄にて紹介しておきます。小澤教授は毎月のように上海に赴いて、そこで在留邦人のメンタルヘルスケアに取り組んでおられる精神科医です。

 

長崎大学 精神神経科、①不知火病院

小澤寛樹 平谷愼一 楠本優子 南達元①

 

中国、特に経済的な中心都市・上海は多くの邦人が居住する街である。だが価値観や習慣等が異なる中国という異文化の下での業績向上という至上命題は、高いストレスや葛藤を当事者に生み出し、その結果上海の在留邦人におけるメンタルヘルスの状況は決して良好とはいい難い。多くの場合うつや自死念慮、アルコール依存、家族機能の不全、突然死などが事象として表れている。このような状況に対する、効果的な治療手段としての西洋的な観点よりむしろ、内観療法を含む東洋的視点からの精神療法に本発表者は期待を持ちたい。中国での邦人に見られる多くのケースにおいて、罹患者を取り巻く家族・家庭機能の恒常性維持、あるいは職場等での人間関係の問題は、症状の寛解にとって重要であり、内観療法はこの側面から大きな役割を果たすであろうと考えられる。また内観療法の手法が日本的な文化を背景に持つ事を重ね合わせるならば、同じアジア圏内での生活で起きる邦人のメンタルヘルス・トラブルへの有効性を検討する事は重要だと思われる。以上の点を含め議論したい。

 

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