2014年9月アーカイブ

「谷川俊太郎という人は、生まれついたそのときから詩人になる要素がぜんぶ揃っちゃった人である。詩人になる要素がぜんぶ揃っていて詩人になった人である。だから谷川俊太郎は、その顔つきも、背恰好も、歩き方も、自転車に乗っているときも、本屋で立ち読みしているときも、誰が見たって『見るからに詩人』である。」と作家で詩人のねじめ正一氏は言う。「生まれついたときから」ということをきくと、サイコセラピーを生業にする身としては、つい、親の影響を考えてしまう。父親は、宮沢賢治を世に知らしめた哲学者の谷川徹三である。生前の谷川徹三の言葉のなかに「物事はね、感じたままでいいんだよ」というのがある。子はまさに父の言葉を実践したようでもある。谷川俊太郎の世界に耳をすましていると、心の傷が癒されて、生きる勇気がわいてくる。サイコセラピーは、言葉が命である。そう、谷川俊太郎は、最上のサイコセラピストなのだ。ねじめ氏の評によれば、「正確に言葉を繰り出してお話しの急所に浴びせかける。だから、言葉の人なのだ。谷川さんはこの場合にはこの言葉しかないと思える正確でしかも愛嬌のある言葉を瞬時に選び取る」名人なのだ。

そこで、10月18日の第17回日本内観医学大会における記念対談では、対談相手の私としては、会場の皆さんと共に、ひたすら谷川俊太郎の世界に耳をすましてみようと思う。そして、「生きる」エネルギーをもらいたい。ちなみに記念対談は、無料公開講座になっているので、興味のあるかたは、どうぞふるってご参加ください。

                          (文責 真栄城輝明)

 

 柴田久実

奈良女子大学文学部子ども臨床学コース

 

 今回大学のインターンシップ実習として、内観を体験させて頂きました。当初インターンシップ実習として内観を選択させて頂いた時は、特にこれを見つめ直したいという思いがあった訳ではなく、真栄城先生のゼミに入ったからには一度どんなものなのか経験してみたい、という程度のものでした。しかし、折角このような機会が得られるのであれば、今現在に至るまでの自分自身の人生を整理出来ればという気持ちも同時に抱いておりました。また、強いて言えば同居していた亡くなった父方の祖母と姉のことについて改めて見つめ直してみたいとも考えていました。

内観というものは、屏風の中に籠り、母や家族、また自分自身にとって関わりの深い方々に対してひたすら「お世話になったこと」「して返したこと」「ご迷惑をかけたこと」の三項目を、幼少期から現在に至るまで繰り返し「身調べ」するというものです。私自身、内観というものを知る以前から、家族や友人との間に起こった出来事を振り返るということはしていたので、正直に言うと内観をしたところで何か新しい気付きを得られるのだろうかということを内心抱きつつ参加させて頂きました。

しかし結果的には、内観を続けていくうちに、色々なことに気付かせて頂くことが出来たように思えます。内観中は奥様が作って下さる食事を頂いていたのですが、どれもが本当に美味しくて心に染みわたり、毎回頂く度に励まされるような気持ちでいました。内観二日目の朝の食事を頂いている時に、このように食事のお世話をして頂き、食べられることが本当に有難いことであると感じるのと同時に、もしこの食事が無制限にどんどん運ばれてきたのなら、今このように感じている感謝の気持ちさえも薄らいでいってしまうのだろうなと、ふと思いました。その時、きっとこれは母や家族のことに対しても同じであると感じました。家族から受ける愛情は自分の中では当たり前と化してしまっていたのではないか、無意識の内に「当たり前」だと自分自身が思い込み、満腹になることで、だんだん見えなくなってしまっていたことがあったのだということを思い知られたような気持ちになりました。

また内観中、毎回食事の時間には今までに内観をされた方々の座談会のテープが流れており、その内容は自分自身にとって内観を深めていくきっかけになったのだと思います。特にその中で、ある方が自分には今まで「愛情を受け入れる器」がなかったということを語られており、それを聞いた時に、はっとさせられました。振り返ってみれば、私にも今まで愛情を素直に受け入れる器がなかったのではないかと思います。他者からの愛情や善意を素直に受け入れられる器が自分の中になくては、同じように周りの方にも愛情と感謝をお返しすることが出来ないのではないかと思いました。

内観を通して、今までの人生を改めて振り返ったことで、何が変わったのか、変わらなかったのか、後になって考えてみるとはっきりと答えるのは難しいと思いました。しかし、自分の中でどうしても整理がつかなかったものに対しての捉え方が自分の中で変化していったのは確かだと感じました。そして、このような気付きを得られたことを今後も同じように持ち続けるためには自分自身の努力が必要になってくるのだと思います。

真栄城先生、また面接者の方々がひたすら否定も肯定もせず、私の話をただただ聞いて下さったことで、一人では気付き得なかったものに今回気付くことができたのだと感じております。また、面接して下さった先生方だけでなく、内観中、毎回美味しくて温かい食事を私たちの為に作って下さった奥様にも心より感謝申し上げます。一週間に渡る内観研修に参加させて頂き、本当にどうもありがとうございました。

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