2015年4月アーカイブ

表題は、昨年の20141018日に第17回大会を奈良女子大学で開催した際の大会テーマである。筆者は大会長を仰せつかったことから、今回、内観医学誌に巻頭言を寄せることになった。そこで、大会を振り返りつつ、以下に小文を認めることにする。

さて、当地・奈良県は内観発祥の地であるにもかかわらず、本学会の大会が開催されるのは初めてのことであった。初めてといえば、女子大学での開催も初めてのことだ。さらに、医学部教授、あるいは医師以外の臨床心理学領域の教授(臨床心理士)が大会長を引き受けることもおそらく初めてのことだった。つまり、奈良大会は本学会においては初めて尽くしの大会となった。これは本学会に一つの節目が訪れたことを象徴しているように思われる。このことは大会の企画と内容にも表れていよう。

たとえば、具体的には、まず、将来援助職を目指す大学院生の参加費を無料にしたが、これは本学会の存在と魅力を若い人たちに知ってもらい、本学会が先細りすることなく、学会への若い入会者を増やすことを考えてのことであった。さらに、学会にとって最も重要な研究発表を充実させるために各発表にコメンテーターを付けたことである。お蔭で発表者はもとより、参加者からも好評であった。その他、今回は恒例の大会長講演を行わず、詩人の谷川俊太郎氏を講師に招き、特別記念対談を企画した。当初は谷川氏に記念講演をお願いしたのだが、「私は学者ではないので、講演はしません。しかし、対談であればいいですよ。」と言われたので、大会長講演の代わりに特別記念対談にさせてもらった。その結果は、谷川氏の知名度のお蔭で、これまでにない参加者(300余名)を集めることができた。

そして、いま世界は激動期を迎えている。わが国では憲法改正の動きが取りざたされており、その背後には隣国(中国と韓国)との領土問題が絡んでいる。まさに政治の世界は暗雲が立ち込めているといってよいだろう。そこで、シンポジウムでは、政治的にはこじれた関係にある中国と韓国からシンポジストを迎えることにした。政治を離れた学術交流を通して隣国との友好関係を維持するだけでなく、さらなる絆の強化を願ってのことである。なんとなれば、内観療法には、こじれた人間関係を修復する効用があると言われているからだ。世界中の人々が内観するとき、世界に平和が訪れよう。内観療法の可能性について、大きな目標としては、世界平和の構築である。そして、目前の可能性は、兄弟学会である日本内観学会の元理事長(竹元隆洋氏)と本学会の新理事長(長山恵一氏)による「これまでの内観、これからの内観」と題する記念対談のなかで語り出された内容に尽きる。すなわち、両学会はこれまでそれぞれの歴史を歩んできたが、これからは手を携えて大会を合同で開催しつつ、近い将来は合併することも視野に入れたほうがよい、という意見である。「和を以て 尊しとする」日本文化から生まれた内観療法ならではの動きである。

というわけで、今後の「内観療法の可能性」の行方が愉しみになってきた。

真栄城輝明(現佛教大学・前奈良女子大学)

2015年6月

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