2016年2月アーカイブ

 本欄の読者から「対談の内容が知りたくなりました。全部とは言いません。概要でも構いませんので、紹介してくれませんか?」という希望がありました。概要といってもすぐにはむつかしいので、千石先生の了解がいただけたので、さわりの部分だけを紹介したいと思います。

司会:では、真栄城先生、対談を始めてください。よろしくお願いいたします。

真栄城:「花」は沖縄民謡ですが、中国人にも人気な曲で、中国語でも歌われています。英語バージョンもあります。いまや、国内はもとより、国外でも歌われているようです。この曲を千石先生が選ばれた理由からまずお聞きしたいと思います。

千石:私は僧侶、カウンセラーとして約13年ハワイに滞在しましたが、ハワイに行って初めて、多くの日系人の御苦労のお蔭で、現在日本人がハワイを観光地として楽しむことができるのだな、と知りました。実はハワイは日本人が移民として渡った最初の異国の地なのです。1868年、153名の方が砂糖きび畑の耕作で出稼ぎをするため、船でホノルルに到着しました。いわゆる日系移民一世は、沖縄、山口、広島、九州出身の方が多いです。その勤勉な日系一世の子供たち、いわゆる日系二世の方たちは、親の苦労を見て育ち、一生懸命勉強して医師や弁護士、教師などにもなり、日系人の地位は向上していったのです。そんな中、第二次世界大戦がハワイの真珠湾攻撃によって始まり、日系人は皆日本軍のスパイとみなされ、土地、財産を没収され、収容所に入れられるなどの大変なご苦労をされました。私は、ハワイで多くの日系人とのご縁をいただき、皆さんのご苦労されたお話しもたくさん聴かせていただきましたが、特に沖縄の方たちの温かさ、大らかさに、私自身が心癒やされ、励まされてきました。沖縄は、ハワイでの歴史のみならず、中国や日本に占領される、第二次世界大戦にいやおうなく巻き込まれる、そして現在でもアメリカの基地問題など、色んな苦難を余儀なくさせられてきました。この沖縄の「花」という曲を聴いた時、沖縄の方たちの心、というか、泣くときは泣き、笑うときには笑う、心の素直、豊かさが根底にあるからこそ、多くの困難を乗り越えてこられたのだな、ということを改めて感じたのです。また、花の、はからいを持たず一生懸命咲く姿、命を全うする姿に、人間の生きるべき姿を、見出されているのかもしれません。私たちの生きている、この娑婆世界は、辛く、苦しいことがたくさんあります。その中を生きていく上で、この、自分を飾らないおおらかさ、素直さ、というのは、とても大切なものだと思います。私の認識では、アルコール依存症の方は、真面目で、無理をしすぎてしまう、色々と心配してしまう傾向が強いのでは、と思います。もっと肩の力を抜いて、辛い時は人の助けを借りて、素直に悲しい、嬉しい、ともっと正直に、楽な気持ちで生きていただきたい、という思いで、この曲を弾かせていただきました。

 

前号にも先の愛知県委託事業・アルコール依存症対策事業として開催された市民公開講座の印象記を掲載しましたが、今回もまたその後に寄せられた感想を掲載したいと思います。他にも何人かの方から感想が寄せられたのですが、ほぼ同じ内容で重複するものがあったり、実名での掲載に抵抗を示された方については、今回は、見合わせることにしました。今回紹介する佐藤さんは、断酒会員ではなく、一般参加者の方です。

 

佐藤章世

 

ホールに一歩入ると空気感が異様に感じられ、大変な所に来たと思いました。

 基調講演で脳の生理的な働きが回復を阻害する要因と聞き興味がわきました。意思の力ではなく習慣づけのための努力の連続が断酒をするということだとすると、ご本人とそのご家族のご苦労努力は、なんと果てしないことだろうと頭が下がる思いです。過度の飲酒の陰には、そうせざるを得なかった深い闇があると考える時、私たち家族も決して他人事とは思えないものを感じました。

 千石真理さんと先生の対談からは、捨身という言葉を思い出しました。無私の心からの歌とハープの演奏は、聴く側も魂で聴けたように思います。真栄城先生の優しい語り口からは、先生にとって断酒会とは家族のようなもので、とても大切に思っていらっしゃるような印象を持ちました。「花」にちなんだ沖縄の話題に、日本で唯一の戦場となった沖縄と断酒会の人々、そして私にも共通のものがあるように感じました。過去の悲惨な歴史が「泣きなさい 笑いなさい」と歌わせていると感じます。

  最後に「ふるさと」を合唱した時、隣の席の婦人は歌いながら何度も何度も涙 を拭っていらっしゃいました。私はその方にそっと触れたい衝動にかられましたができませんでした。先生が手を取り合う事をあれ程促していらっしゃいましたにもかかわらず、 です。悔いが残りました。あの哀しみと孤独は、私のものでもあったのに。

  推定5万人の依存者に対し会員は500人であるギャップ、認知度の低さ、法律のことも初めて知りました。入場の時、受付で「 一般です」と告げると、受付の人たちの気持ちが揺れたように感じられ、でもすぐに歓迎してくださったのは、裏を返せば孤独の現れだったような気がします。      

断酒会には私の歴史の全てもあるようにも思います。私はいま人の役に立つことをしたいと考えております。それも内観を体験した結果、私の中から湧き出てきた気持ちなのです。そういう経緯から、今回、ご縁があって、私も参加させていただきましたが、今後、寄り添い合う仲間に入れていただくとか、ボランティアとか関わらせていただくことはできないのかなと思いました。灯台下暗しで、調べたところ本当に近所に活動拠点があるようです。

 

真栄城輝明先生&千石真理先生の対談を聴いて

「心理臨床と仏教の心」

~いのちのつながり~

 

 去る27日(日)に愛知県名古屋市の中電ホールを会場に市民公開セミナーが開催されました。事務局を担当したIさんから送られてきたメールによれば、当日の来場者数は、一般47名、医療行政20名、断酒会会員・家族252名の合計319名であったとのことです。参加された方から数本のメールがあり、春日井市在住の塩原松美さんから頂いたメールをご本人の承諾を得て、本欄にてその一部を抜粋して紹介すると以下のようです。

 

「幕開けは、千石先生のハーブを演奏しながら沖縄民謡の♪『花』を歌われました。千石先生は、ハワイにて老人ホームでのお説教の経験があるらしく、お説教を聞けないお年寄りの方でもハープを演奏し、歌を歌うと目を輝かせて一緒に歌うようなったというのです。「音楽は素晴らしい」と思った千石先生は、それ以来、音楽を取り入れるようになったというのです。また、音楽は楽しいだけでなく、腹式呼吸ができて健康にもよいというご指摘がありました。当日はハーブの音色と腹式呼吸での透き通るような歌声が心に沁みました、自然体で咲く花 ♪泣きなさい~笑いなさ~い いついつまでも花を咲かそうよ♪

 真栄城先生は、沖縄の人たちの心情である『イチャリバチョウデー』という言葉を紹介し、『出逢った人は、みんな兄弟のようなものです』と解説されました。また、先生は、『神の言葉は耳で聞きなさい』といったドイツ人の宗教改革者マルチン・ルターと我が国の親鸞の『仏法にふれる究極は聞法だ』という言葉を紹介されたうえで、ご自身のカウンセリングの経験から『目は心の窓というが、魂の窓は何か、それは第6感です』と話されました。そして、『目を開けると見えなくなってしまうものがある』という指摘は、大変興味深いお話でした。さらに、先生には、♪「ぞうさんのうた」がいじめの物語であることや野口雨情が作詞した♪「シャボン玉」が夭折した雨情自身の子どもへの鎮魂歌であることを話してくれました。改めて、童謡の意味の深さを教えてもらいました。また、対談の最後のほうでハーバード大学の研究を紹介されて、『母親と温かい関係を築いた子供は成功する』『幸福とは愛です』などの感慨深い話をしてくれました。内観の創始者・吉本伊信先生の義母・森川りうさんの『苦しい事から逃げていると、楽しい事からも遠ざかる』という言葉は、心に留めておきたい大切な言葉だと思いました。

千石先生は、やなせたかしさんが作詞した♪「手のひらを太陽に」を歌われたあと、それは、手のひらを裸電球に照らした様子を詩にしたものであることを教えてくれました。実際にブータン国を訪ねた際のエピソードを交えつつ、ブータンでは『人は死んでも、魂は生き続ける』と考えているために『生きとし、生けるものすべてが幸せに成る様に祈る』という話を聞いて、自分の事だけを考えている私は 大変恥ずかしい気がしました。最後に♪「故郷」を会場の皆さんと共に歌い素晴らしい心の充電が出来ました。

真栄城輝明先生・千石真理先生、心に残る素敵なお話有難うございました。

(塩原松美)

平成26年「国民健康・栄養調査結果の概要」が発表されました。それによりますと、高所得者は「お酒」で、低所得者は「タバコ」で身体を壊していることが判明した、とのことです。このニュースは、私が所属する<アル法ネットメーリングリスト>を通して送られてきたものです。以下にその詳細な内容を紹介しておきます。

 

<厚生労働省は、毎年「国民健康・栄養調査」を実施しています。年度ごとに重点調査項目というものが設定されているのですが、2014年は所得と生活習慣の関係性についてより詳しい調査が行われました。

習慣的に喫煙している人の割合は男女とも年収200万円未満の方が高く(男性35.4%、女性15.3%)、年収600万円以上(男性29.2%、女性5.6%)はあまりたばこを吸わないことが分かります。一方飲酒については逆の結果が出ています。

健康を害する可能性のあるレベルの飲酒をしている人の割合は、女性の場合年収に関わらず9%台でそれほど差はありませんでしたが、男性については年収200万円未満の人の割合は11.5%と統計的に有意なレベルで少なくなっています。ちなみに200万円から600万円の人は17%が該当しており、いわゆる中間層の人はお酒でストレスを発散しているのかもしれません。

 また歯の本数にも違いが見られます。歯が20本未満の人の割合は、年収600万以上では20.3%ですが、年収200万円未満になると33.9%に増加します。歯の健康は、内臓など他の分野への影響も大きいと言われていますから、健康支援策として歯科治療は重視すべき項目といってよいでしょう。>

 さらに、2月2日の中日新聞に載った記事も配信されてきましたが、それによると、「飲酒習慣のある男性は十年前(〇四年)の36・8%から32・8%へ減少したが、女性は7・2%から8・7%に増えた(年齢調整値)。生活習慣病の恐れのある飲み方をしている人も、男性は増減がみられず、女性は二十~六十代の各年代で増えた。」というのです。

それについて、<国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)で依存症の女性病棟を担当する精神科医、岩原千絵さん(43)は「女性は男性に比べアルコールの影響を受けやすく、注意が必要」と警告する。>と伝えております。

 そして、<この背景について、岩原さんは「女性の社会進出が進み、飲酒に肯定的な風潮が広がっているため」と指摘する。酒類メーカーのテレビCMでも女性タレントの起用が男性を上回っており、「メディアを通じて、男性と対等に飲みなさい、飲めばストレスが解消され、人間関係が円滑になると刷り込まれている」と話す。>ということも紹介しています。

 記事のまとめとして<国の健康施策「健康日本21」の基準では、一日当たりの適正飲酒量はビールなら中びん一本とされているが、岩原さんは「女性はその半分から三分の二の量と考えた方がいい」と話す。自分の飲み方に不安があれば、飲酒習慣スクリーニングテスト「AUDIT(オーディット)」を試すことを勧める。医療センターなどのホームページに掲載されており、十項目の質問の総点数で、飲む量を減らすべきか、専門医療機関に相談すべきかなどを把握できる。「飲み始めるとやめられない」「迎え酒をする」「前夜のことを思い出せない」「けがをした(させた)」など、生活への影響が出ていれば依存症の疑いがあり、早急な対応が必要だ。>と警告を発しているのが印象的でした。これから卒業式や同窓会のシーズンがやってきますが、くれぐれも健康を損なう飲酒だけは避けたいものです。

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